那須と文学作品 (ナストブンガクサクヒン)

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【田舎医者】見川鯛山(本名泰山)作。短篇小説集。1964(昭和39)年刊。那須高原の診療所の院長である「私」が近辺の山中や村里で出遇った珍奇な出来事を、方言を交えた軽妙でユーモラスな筆致で、オムニバス風に描いた28話より成る。那須の四季の美しさを背景に、そこに住む老若男女の素朴で健康な世態人情や生活の哀歓がぺーソスと共ににじみ出ている。また擬人法で書かれた自然に対する親しみと釣りや狩猟を趣味とするとはいえ、動物に対する愛情、さらに弱者や貧困な者に対するヒューマンな温かい目が随所に感じられる。

【金の魚】中村真一郎作。小説。1968(昭和43)年刊。交通事故を危うく免れた「私」は秀れた文学を創造する意欲に駆られるが、精神の第二層(日常性)より脱却できずに苦しむが、ある日車で高原へ出かけたとき、そこの事務所の池に「薄い金色に鱗を染めた魚が二三匹悠々と泳いでいる」のを見て、「私が将来作りあげるであろう想像力の世界の全体像も、この金の魚のように、精神の空に光を発しながら泳ぎまわるだろうか。そしてその『作品』の中央に魂を吸いよせるように美しい朱色の線が一本浮き上がることができるだろうか?」と啓示を得たように悟るのである。作家の内面生活を鋭く追求した観念的な心理小説。

【御用邸狐】戸川幸夫作。小説。1956(昭和31)年「別冊文芸春秋」に発表。那須御用邸裏の原生林に何十年も棲んでいた、巨大なずるがしこい牡狐は、妻を失った後第二の妻と駒止めの滝近くに巣をx営み、彼を襲う人間どもをさんざん翻弄する。しかしある日子狐が噛んだ口発破の爆発で父子とも絶命する。その後の山狩りで更に三匹の子狐は人間に殺されるが、母狐と一匹の子狐は残る。子狐は山医者(モデルは見川鯛山)が連れ帰り犬小屋につないでおく。その子狐の所に毎夜母狐が餌を運んでくる。月の出を待って猟銃でそれを射止めようとした山医者であったが、娘の忠告と母子の狐の情愛に打たれてとうとう子狐を解き放してやる。

【玉藻の前】岡本綺堂作。歴史小説。「婦人公論)」連載。美貌と博識から鳥羽天皇(一説に近衛天皇)に寵愛された女性玉藻の前は、実は白面金毛九尾の狐であった。上皇を病気にさせるなど災いをなしたので、安倍泰成に調伏されてその正体を現わし、那須野が原に逃げ下った。追討の命を受けた三浦介上総介はこれを追ってついに弓矢で射殺す。だが狐はその直後、巨大な毒石に変化し、近づく人間や動物等の命を奪った。そのため村人は後にこの毒石を『殺生石』と名付けた。この殺生石は鳥羽上皇の死後も存在し、周囲の村人たちを恐れさせた。このような伝説のもとに書いた長篇。

【手紙】菱山修三作。小説。「絵のなかの少女」1942(昭和17)年中の書即体の短食。詩人が学生時代の一夏を過ごした八幡温泉の想い出を、八幡の一望閣の人々に宛てて手紙の形式で描いたもの。昭和初期の山の宿の素朴な避暑生活と那須高原の自然美が克明に浮かんでくる。

【日蝕の夏】石原慎太郎作。小説。1956(昭和31)年「別冊文芸春秋」。経済的になに不自由ない上流家庭に育った直樹は、両親の間の冷い空気を敏感に察している。同じ年頃の娘杏子に心をひかれながらも年上の節子ともつき合っている不安定な学生である。節子と遊びに行った那須のゴルフ場で偶然兄の以前の婚約者の直子と彼の父がプレーしているのを目撃する。兄の婚約破棄の裏面を知った直樹は、父親を執拗に憎むようになる。ある日、父の乗用車のネジをゆるめ、瀕死の交通事故を起こさせてしまう。しかしそのうち両親の不和の原因が母の浮気にあることがわかる。また杏子の心変りをも知ったため人間の愛情に絶望した直樹は、母親を罵倒して家を出、学校をやめて節子との結婚生活に入る。

【伸子】中条(宮本)百合子作。「改造」連載 1924(大正13)年第一次大戦の終る年、父親と渡米中の佐々伸子は、研究に没頭する真面目な留学生佃に心をひかれ、周囲の反対を押しきって結婚する。しかし伸子はやがて、夫の陰気な性格と煮えきらない消極的な生活態度に不満を感じ、理想を求めえない生活に絶望し、遂に離婚を決意するに到る。破局の迫ったある日、二人は那須に登山するが、帰り途大雷雨に遇いずぶ濡れになってしまう。夫は妻に対し少しもいたわりの行為を示さず途中休みもせずどんどん下山してしまう。二人の心のみぞはいっそう深まっていく。作者の初期の自伝的性格の濃い小説で、結婚における女性の自由と独立、主体性の問題を提示する。

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