栃木：観光情報満載の観光Fan（観光ファン）

鬼怒川温泉と川治温泉の中間，鬼怒川上流の下方侵食によってできた豪快な溪谷をいう。鬼怒川はこの上流で，男鹿川と合流して南流し，断層線に沿って，北東流してくる逆川を向かい入れ，やや南東に向きを変え，高原山と日光連山，月山との間に深い谷を刻んでいる。谷間を走る国道121号線に沿って続く，約3㎞の峡谷は侵食による奇岩，巨岩，滝に紅葉の美を添えて戦後有名になり，日本観光地溪谷部で上位入選した。下流から流路に沿って自然研究路が設けられている。龍王峡入口，イノ原から溪谷に下りると段丘上から野沢の水が落ちる虹見の滝がある。滝の前には龍王神社がある。ここには対岸に渡る橋がある。付近は白色の流紋岩が見られるので白竜峡と呼ばれる。ムササビ橋付近になると，対岸は流紋岩の岩原で，カオリン化作用，温泉作用によって変質したり，閃緑ヒン岩の岩脈が川を横切っている。橋から100mのところは含礫緑色凝灰岩になり，下流に向かって傾斜している。ここを青竜峡という。この礫は噴出の際に含んだもので中にチャート，珪質岩石，頁岩，砂岩，花コウ岩，凝灰角礫岩が入っている。ここから上流約100m地点を兎ばねという。ここは竜王峡で最も川幅が狭く，岩がせまりあっている。岩質は安山岩で礫岩の下位にあたり，斜長石の斑晶が目立ち，角閃石は緑泥石に変質したため，このような色を呈する。ここを紫竜峡という。なおこの付近にはおう穴群が見られる。このおう穴から土地が隆起し，鬼怒川が岩盤を侵食して，竜王峡ができたことがわかる。峡谷の最上流部付近に浜子ダム，その上流2㎞の所に小網ダムが設けられ，五十里ダム建設に伴う県営発電所（出力2400kW）がある。浜子ダムからは，さらに発電所への水路が引かれているので，鬼怒川の水量は少ない。