薬師寺城 (ヤクシジジョウ)
map
各写真をクリックすると拡大して表示します。
詳細
住所 |
〒 329-0431 栃木県下野市薬師寺 |
---|
南河内町薬師寺にある平城。寛喜年間(1229~1232)に小山朝村が築城し,ここを居城としたので,姓を薬師寺と改めた。朝村は下野守小山朝政の子朝長の2男であり,子孫相次いで居城したが,薬師寺氏は勇名高く,鎌倉幕府に仕えた。のち足利尊氏が弟直義と不和になると,1351年(観応2)薬師寺公義は尊氏・高師直の配下にあって,摂津松岡城で直義と戦った。しかし,公義は深く感ずるところがあって,師直に自裁をすすめ,兄弟の仲を和解しようとしたが聞かなかった。これをみて公義は世をはかなみ高野山に登って剃髪し元可と改めた。のち帰国して再び武門に入り,宇都宮公綱を勧誘して尊氏に味方させ,上野国に出兵して直義方の桃井直常を破り,駿河国薩埵山の戦いで直義軍を撃破した。これ以来,薬師寺氏は宇都宮氏に属していたが,師直の近臣だけに武名はあがらず,わずかに歌人として『元可法師歌集』1巻を残し秀歌を収めておくにすぎない。当城は1597年(慶長2)勝朝のとき,宇都宮氏の滅亡とともに領地を没収されて廃城となった。薬師寺城は大部分畑地と化しているが,今は薬研堀という堀の一部が残存するにすぎない。